写真:フィルムスライド

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より良いプレゼンテーションのために

プレゼンテーションとは

プレゼンテーションには、フォーマルにせよインフォーマルにせよ、発表というニュアンスがあります。研究や企画、計画、調査などの発表や報告、製品や商品、サービスの紹介、観光案内や地域情報サービスなどプレゼンテーションの機会はたくさんあります。

情報を正確にそして相手が満足するように提供できるのがよいプレゼンテーションです。それにはプレゼンテーションの技術とプレゼンテーションする内容の両方が良くなければなりません。もちろん、もっとも大切なのは内容ですが、この講座は、視覚障害者のためのプレゼンテーション技術、それもパワーポイントの作り方に限定して説明することを目的にしています。パワーポイントはプレゼンテーションの質をあげる強力かつ必要不可欠な技術です。

もっとも、プレゼンテーションの技術には話し方も含まれています。プレゼンテーションで大切なことは、内容を含め、実はこの講座をマスターした先にあるのです。

3つの基本条件

プレゼンテーションのためのパワーポイントを作成するとき、この講座では次の3つの基本条件に従います。

 1.レイアウトや文字の大きさは、原則として、自動設定に従います。
 2.見やすさと作りやすさを最優先します。
 3.シンプル イズ ベスト とします。

プレゼンテーションのためのパワーポイントは、どのような場合でも、見やすく、わかりやすく、美しいことが基本です。パワーポイントを使えば、タイトルやサブタイトル、テキストの文字の大きさや色だけでなく、図表などを含めたレイアウトも自動的に設定されます。もちろん自分で自由に設定することもできますが、自動設定だけでかなりの水準のパワーポイントが作成できます。下手に工夫するとかえって見にくくなることが多いのです。”シンプル イズ ベスト”はパワーポイントでも通則です。
昔のこと

かつて(1900年代の中頃まで)は、大きな用紙に筆やマジックペンで大きな字や図表を書いて黒板などに貼ってプレゼンテーションしていました。(当時、プレゼンテーションなどという言葉は使いませんでした。「プレゼンテーション」という言い方は、本来、広告代理店がスポンサーなどに広告計画案を説明するとき使われていたようですが、それがカタカナ文化に乗って広く使われるようになったようです。もっとも、大きな紙に書いて発表する原始的スタイルは、学校や職場などの内部的なプレゼンテーションではいまでもよく使われています)。それがスライド全盛になり、さらに1980年代になるとオーバーヘッドプロジェクターが使われるようになりました。しかし、発表用のスライドやOHPシートを視覚障害者が自分で作ることはほとんど不可能でした。他の人に作ってもらっても発表で使うことはなかなかできませんでした。印刷した資料を配布してそれを説明するというスタイルをとらざるを得なかったのです。ところが1990年代になると、情報技術が急速に進歩し、現在は、誰でも(視覚障害の有無にかかわらず)、パソコンのパワーポイントを使って発表資料をまとめ、液晶プロジェクターでプレゼンテーションするようになりました。リーディング機能のあるパソコンさえ使えれば、視覚障害者が自分でパワーポイントを使ってプレゼンテーションできるようになったのです。視覚障害者の活躍の場が広がっています。


これから始めようとしている方へひとこと:

パワーポイントで写真や図、表などを駆使するには、パソコンについてある程度の知識と技術が必要ですが、もちろん、視覚障害者でも十分できます。ですが、初心者の方は、写真や図表の作成をしばらくは他の人に手助けしていただいた方がよいでしょう。図表なしでもパワーポイントを使えばプレゼンテーションはかなり効果的になります。この講座では、ワード(Word)を使うことができ、自分でソフトウェアのインストールができるユーザーであることを前提条件にしています。この水準に達していない方はまずこれらをマスターして下さい。エクセル(Excel)が使えれば図表の入力もできます。デジカメ写真も入れるのは簡単です。少し手伝ってもらえば上級レベルのパワーポイントプレゼンテーションになります。ワードが使えるならまずはじめてみましょう。